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USE CASE 渦電流式変位センサ

渦電流式変位センサは、渦電流を利用して測定対象物の有無や距離を測定するセンサです。電磁誘導によって導体内に発生する渦電流の大きさの変化をもとに、測定対象物との位置関係や挙動といった変位を測定しています。

原理

渦電流式変位センサは、一般的にセンサ部とドライバ(変換器)で構成されており、センサとドライバは同軸ケーブルでつながっています。ドライバ内には電子回路が入っており、電子回路からセンサヘッド内部のコイルに高周波電流を流すと、高周波磁界が発生します。

高周波磁界に測定対象物が接触すると、電磁誘導の原理によって渦電流が発生します。渦電流の大きさはセンサヘッドと測定対象物の距離に比例しており、距離が近くなれば大きく、距離が遠くなれば小さくなります。渦電流が大きくなったり、小さくなったりすると、センサヘッド側のエネルギー損失が増減して発振状態が変化します。その発振状態の変化を整流して直流電圧の変化を測定するというのが、渦電流式変位センサの基本原理です。

特長

削除渦電流式変位センサの特長は、大きく4つあります。

1つ目は、非接触で測定できるという点です。センサと測定対象物が直接触れないため、摩耗などによって破損する心配がありません。特に測定対象物が振動する場合、接触式のセンサだと振動に影響を与えたり、故障したりする恐れがありますが、渦電流式変位センサであれば問題なく測定できます。

2つ目は、測定対象物の表面に液体が付着していても測定できる点です。渦電流を利用して測定する渦電流式変位センサでは、絶縁体は検出しません。そのため、水や油などが飛散する環境でも、問題なく利用できます。水中や高温・極低温の環境下での測定に対応した機種も存在しており、耐環境性に優れたセンサです。

3つ目は、設置場所を選ばずに利用できる点です。ほかのセンサに比べて構造がシンプルなため、センサヘッド部分の小型化・軽量化がしやすくなっています。既存設備へ後付けする際など、限られたスペースしかない環境でも渦電流式変位センサであれば導入できます。

4つ目は、高速応答・高精度である点です。構造がシンプルであるにもかかわらず、極めて精密な測定ができます。なかには、40,000回/秒といった高速サンプリングを実現したり、サブミクロンオーダーの分解能を実現したりする機種も存在しています。

用途

渦電流式変位センサの主な用途は次の通りです。

  • 工作機械による加工中のモニタリング

    渦電流式変位センサは水や油のかかる環境でも利用できます。そのため、切削水や切削油を使用する工作機械での加工中のモニタリングに最適です。加工中の熱による加工物の変位や振動、工具の偏心などを測定することで、不良品の流出や工具の破損を防止できます。

  • 位置検出や姿勢制御

    渦電流式変位センサでは、測定対象物の位置や姿勢を検出できます。センサを複数利用すれば、多点での測定も可能です。プレス機の下死点管理や、磁気浮上式鉄道における車両とレール間の距離制御などに利用されています。

  • 回転挙動のモニタリング

    タービンや電動機、コンプレッサーといった回転機の状態監視にも、渦電流式変位センサが活用されています。回転速度・角度といった挙動や振動を常時監視することで、効率的なメンテナンスや特性診断が実現しています。

まとめと展望

このように、渦電流式変位センサはさまざまな用途で活用されています。測定対象物が導体であれば、あらゆる環境下において非接触かつ高精度な測定が可能です。今後も自動車・半導体・航空宇宙・建設といった幅広い業界で活用されていくでしょう。