接触式変位センサ EDSシリーズ
接触式変位センサは、物体の変位量を測定する変位センサの一種としてさまざまな用途で活用されています。ここでは、接触式変位センサの概要や種類、用途について解説いたします。
接触式変位センサとは
接触式変位センサは、接触子(プローブ)が直接触れることで物体の位置を測定するセンサです。物体がある位置からほかの位置へ移動したときの移動量(=変位量)を測定するために用いられるほか、物体の幅・厚み・高さ・平面度・平坦度などのさまざまな情報を測定することもできます。
変位センサには、レーザ式や渦電流式といった物体に直接触れずに測定する非接触式のセンサもあります。それらと比較した接触式変位センサのメリットは次の通りです。
- 物体と実際に接触するため、測定結果の精度や信頼性が高い
- 非接触式変位センサに比べると比較的安価である
- 水や油など周辺環境の影響を受けにくい
接触式変位センサの種類
接触式変位センサにはいくつかの種類があります。それぞれの仕組みや特徴を理解した上で、用途に応じたものを選定するようにしましょう。ここでは、代表的な接触式変位センサである「LVDT(差動トランス)方式」と「スケール方式」の2つを解説します。
LVDT(差動トランス)方式
LVDT(Linear Variable Differential Transformer)方式は、「差動トランス」や「差動変圧器」とも呼ばれる接触式変位センサです。機械的な直線運動を電圧・電流・電気信号などに変換することで、物体の変位量を測定できます。
LVDT方式の接触式変位センサは、内部の中心にコアがあり、コアを包むようにコイルが配置されて磁界を発生させています。また、コアの先端には接触子が取り付けられており、バネの力や空気圧によって物体に押し付けられています。物体に何らかの変位が発生すると接触子を通じてコアがスライドし、それによってコイルの出力電圧が変化するという仕組みです。物体の変位量と出力電圧の変化は相関関係にあるため、出力電圧の変化を見ることで、変位量を測定できます。

LVDT方式のメリットとしては、コアの位置によって出力電圧が変化するため、値が飛ぶことがなく絶対位置を把握できる点が挙げられます。一方で、コイルを利用する構造上、磁界や温度変化の影響を受けやすいことや、コイルの端付近では精度が落ちることなどがデメリットとして挙げられます。
スケール方式
スケール方式の接触式変位センサは、接触子の変位量をスケール(目盛り)で測定する仕組みとなっています。測定方法としては、「磁気型方式」と「光カウント方式」の大きく2種類に分かれています。
- 磁気型方式

- 光カウント方式

スケール方式のメリットとしては、目盛りを細かくすれば精度を高められることや、温度変化の影響を受けにくいことが挙げられます。一方で、接触子が急激に移動すると正しく測定できずに値が飛んでしまう可能性があること、絶対位置を把握していないため都度ゼロ位置への調整が必要なこと、といったデメリットもあります。
接触式変位センサの用途
接触式変位センサは主に、自動車部品や電子部品といった製造現場で活用されています。具体的な用途は次の通りです。
- ステージの位置決めおよび制御
- 基板や部品の反りの測定
- 部品や材料の厚み測定
- 部品組み付け後の精度確認
- 材料の強度試験
- 自動検査ラインにおける寸法測定・選別