触覚センサ PLYON®
触覚センサとは
医療やロボットの応用などに使用される触覚センサですが、どういった特徴を持っているのか触覚センサの種類と共に解説していきます。
視覚や聴覚、触覚や臭覚、味覚といった五感が人間には備わっていますが、触覚センサはその名の通り「触覚」を人工的に作り出したものです。触っている状況や触っている力、圧力や温度、痛さなどを検出し、基本的な技術としては圧力や振動を電気的信号に変換する部品です。
そのため、ものを掴んだ際の状態やものの質感、ものとの距離などをリアルタイムに感じられます。接触力を電気量に変える変換器、電気量の検出回路、信号・情報処理回路、信号伝送回路といったものから構成されていることが一般的で、発振周波数の変化をキャッチしてものの硬さや柔らかさなどを評価する仕組みです。
触覚センサには種類がある
触覚センサには種類があります。代表的なものをピックアップして解説しましょう。
力覚センサ
圧力やモーメントの大きさ、向きを検出できるセンサで触覚センサの基本でもあります。ものを持つ際には、どの程度の力を加えて持つべきなのか、どの程度の優しさを持って扱うべきなのかを人間は瞬時に理解しますが、そういった判断をロボットもできるようになるため、ロボットに対して人間のように触覚を与えることができます。
力覚センサには感知方式があり、光学式力覚センサは力が加わる部分にあらかじめプリントを施し、力によってできる模様の変化を光学センサで検出して力の大きさを求められます。そのため、力が加わると模様がどう変わっていくのかを前もって確かめておく必要があります。
静電容量式力覚センサは、静電量に変化が起きた際にその変化を測定して力の大きさを求めることができ、構造が簡単な点が特徴で小型化、多軸化ができます。圧電式力覚センサはセンサが圧力を受けた際に放出される電子を測定して力の大きさを求めます。高い剛性、高感度が特徴です。
電気抵抗式力覚センサは、電気抵抗値が変化する物体を用いて力の大きさを求めます。ひずみゲージや感圧導電性ゴムを使う方法があり、回路構成やセンサの構造が簡単な点が特徴です。
力を方向別に測定できるので、意図しない方向にロボットが反応したとしても、瞬時に察知して動きを止めてくれるメリットを持っています。そんな力覚センサは様々な場所で活用されています。
例えば、研削作業やバリ取り作業を実施する工場です。バリ取りは技術が必要な作業なので経験が浅いと仕上がりが悪くなってしまうケースもあります。しかし、力覚センサがあれば微細な違いもすぐに検知し作業を行ってくれます。美しい仕上がりを一定に行えます。
また、ピッキング作業でもセンサは活躍しています。細かなミスや違いを瞬時に気付けるので見落としが減り信頼性アップにもつながります。その他にもネジ締め作業といった精密作業に応用でき、様々な場所で力覚センサが活躍しています。
すべり覚センサ
ものとセンサ間のすべり速度や量を測定できます。ものを持った時に落としそうになると人間は指に力を入れて落とさないように動きます。その動きを機械に取り入れられるので、すべり覚センサが搭載された機械はすべりを検知した際に掴む力を強くするなどしてものが落ちないように自動で対処します。
すべり覚センサにも様々な方式があり、変位検出式すべり覚センサは、ものを掴む場所にボールやローラーを設置して回転量によってすべりを感知します。光学式すべり覚センサは、ものを掴む場所に光学式センサを備えて物体の表面の状態変化を探知してすべりを感知する仕組みです。
微振動・高周波検出式すべり覚センサは、掴んでいるものがすべる直前に生まれる微振動を検知してすべりを感知する方式のセンサです。掴むものの状態が大きく変化すると検知が難しくなるデメリットがありますが、搭載制限が少ない特徴を持ちます。
負荷変化検出式すべり覚センサは、すべりが生まれる際の負荷の変化をソフトウェアで検出して判定を行います。すべりを検出するセンサは不要ですが、微振動・高周波検出式と同様にものの表面状態の影響を受けやすいデメリットがあります。
上記のほかにも、 接触覚センサや圧覚センサ、分布圧覚センサなどがあり、日本でも多くの分野で取り入れられています。特に近年では医療やロボットの応用に期待されており、医療においては硬さを評価できるためにがんの早期発見にも貢献しています。
乳がんや前立腺がんは「しこり」の有無が病気の判断材料にもなります。感度良く捉えられるので、今後も大いに活躍すると予想できます。また、表面のザラツキ評価もできるので、皮膚炎や乾皮症といった皮膚病の定量評価にも使われるケースがあります。