蛍光物質
蛍光物質の種類
蛍光化合物には、化学組成が大きく異なるいくつかの種類があります。そのため、蛍光化合物にはそれぞれ違った利点と欠点があり、蛍光アプリケーション用に選択・最適化する場合には、そうした点を考慮する必要があります。
小型有機蛍光物質
これらは小型有機分子で、現在、生物学的用途で最も汎用されている蛍光物質です。よく用いられる例は、Cy3、Cy5、FITC、およびAlexa色素です。
蛍光タンパク質
これらの種類の蛍光物質はクラゲで最初に発見されたもので、遺伝子工学的方法によって融合タンパク質として生細胞に組み入れることができるという独特の利点があります。この方法を用いると、無傷の細胞だけでなく、生物内でも、特定の構造を標識して観察することができます。よく用いられる例として、GFPやフィコエリスリンがあります。
量子ドット
これらは、半導体原子が集まった、ナノメートルサイズのクラスターです。量子ドットは、独特の量子効果により、励起が非常に幅広い波長範囲で起こり、特定の波長で発光するよう設計することができます。成分が有毒なので、市販の量子ドットは、ほとんどがシェルに封じ込められています。さらに、それらは、特定の表面特性を得るために有機分子でコーティングされています。
無機蛍光物質(例:EU3+)
「蛍光」という用語は、それ自体が蛍石(CaF2)と呼ばれる鉱物で最初に観察された効果に基づいています。後に、蛍石自体は蛍光性でないことがわかったのですが、不純物である2価のユーロピウムが観察された蛍光の原因であることがわかりました。ユーロピウムの蛍光は、非常に大きなストークスシフトを示し、光に対して非常に安定です。そのため、テレビの画面に大きな規模で使用されています。しかしながら、診断用途にも使用できます。
蛍光物質の相互作用
もっと複雑なアプリケーションでは、蛍光物質とそれらの環境との間に多数の相互作用があり、それらを最適化に利用することができます。
- 蛍光物質は塩濃度とpHに反応することがあります
- 蛍光物質は、近傍の他の蛍光物質にそのエネルギーを伝達できるので、タンパク質/酵素の相互作用分析が可能になります
- 蛍光物質は、特定分子によって消光が起こります
- 蛍光物質は、還元剤または酸化剤の添加によって最適化できます