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USE CASE 橋梁モニタリング

橋梁モニタリングは、橋梁にセンサを設置してさまざまな測定を行い、橋梁の状態を継続的に把握する方法です。いわゆる構造ヘルスモニタリングの一種であり、各所で導入が進んでいます。

橋梁モニタリングとは

橋梁モニタリングは、橋梁にセンサを設置してさまざまな測定を行い、橋梁の状態を継続的に把握する方法です。いわゆる構造ヘルスモニタリングの一種であり、各所で導入が進んでいます。

  1. 各種センサを設置して橋梁の状態を測定する
  2. 測定結果を有線または無線通信技術によって送信し、データベースに蓄積する
  3. 専用のモニタリングシステムで測定結果を可視化する
  4. 管理者が測定結果を確認し、必要に応じて現地調査や修繕・補強を実施する

橋梁をはじめとする社会インフラを適切に維持管理することは、人々の安心・安全を守り、社会の経済活動を支えるために極めて重要です。そのためには、社会インフラの状態を把握する「点検」、措置の必要性を判断する「診断」、修繕・補強などの「措置」を行う必要があります。

特長

橋梁モニタリングの実現には、大きく4つのメリットがあります。

1つ目は、点検作業の効率化を図れることです。従来は点検作業をすべて人の手で行わなければならず、膨大なコストや時間がかかっていました。さらに、昨今では人手不足が深刻化しており、点検作業を担う人材の確保も難しくなっています。橋梁モニタリングによる点検作業の自動化は、橋梁の維持管理にかかるコストや時間を大幅に削減できます。

2つ目は、より正確に点検や診断の結果を得られることです。人が点検・診断を行っていると、感覚的な判断が多くなってしまい、ミスが起こる可能性も高まります。また、人が立ち入りにくい箇所の点検は疎かになりやすく、適切な判断ができない場合もあります。しかし、橋梁モニタリングであれば橋梁の状態が定量的なデータとして現れるので、誰がみても同じ診断結果を得ることができます。

3つ目は、適切なタイミングで措置を行えることです。橋梁の状態をリアルタイムに把握できるので、異常の発生や予兆を即座に検知して措置を行えます。措置の優先順位もつけやすくなるので、維持管理の効率化が可能です。

4つ目は、橋梁の安全性を向上させられることです。異常の発生時にすぐに管理者に通知することで、橋梁の通行を禁止するといった対策を素早く実施できます。橋梁に設置された警告灯などと連携させれば、利用者に異常を知らせるといった運用も実現可能です。

センサ

橋梁モニタリングにおいて何よりも重要なのは、センサの存在です。センサがなければ橋梁の状態は把握できず、モニタリングが成り立たなくなります。橋梁モニタリングにおいては、次にあげるセンサがよく採用されています。

  • 変位センサ
  • 加速度センサ
  • 傾斜センサ
  • 振動センサ
  • カメラ

これらのセンサの中から、橋梁の構造や使用環境、測定したい情報に応じて適切なモノを選定しなければなりません。複数のセンサを組み合わせて使用する事例も多いので、視野を広く持つことが重要です。

橋梁モニタリング用のセンサを選ぶ際には、十分な測定精度があることを前提とした上で、厳しい環境下での使用にも耐えられることや、長寿命でメンテナンスの手間が少ないことも重視しなければなりません。センサメーカー各社はこれらのニーズに応えるべく技術開発に取り組んでおり、橋梁モニタリングに適したセンサを提供しています。

展望

海外ではすでに大型の橋梁に数百個ものセンサを取り付けて24時間365日体制で監視をしている事例がありますが、日本での導入事例はまだまだ少ない状況です。しかし、日本には長さ2m以上の橋梁が 70万橋以上存在しており、2023年にはこのうち約43%が建設後50年を超えるとされています。これらの維持管理が社会的な課題となりつつあるため、橋梁モニタリングの導入が進んでいくことでしょう。

橋梁モニタリング事例 1米国バージニア州の橋

ElastiSenseのDSシリーズセンサはバージニア州の橋梁のモニタリングでその有用性が証明されました。特にベアリング(橋脚の上に橋桁を乗せるための部品)のモニタリングは、橋の動きに関する貴重な情報を供給しています。
これはメンテナンスの予測に役立ち、バージニア州運輸局(VDOT)が橋の寿命があと何年残っているかを推定するのに役立ちます。「設置は簡単だった」というのが顧客様からの最初の感想であり、ElastiSenseのソリューションがこれまでの他のソリューションよりもずっと簡単に設置できることを示しています。
バージニア州運輸局はRte.638インテグラルブリッジを監視するために12台のDS-20センサを購入しました。センサはこの橋の4つのベアリングに設置され、荷重条件と温度変化の下で変位と回転を監視しています。この情報は、橋の特性の把握、メンテナンスの予測、橋の残寿命の推定に不可欠なものです。
センサはCampbell Scientific社のワイヤレスデータロガーに接続され、データはクラウドに送られ、バージニア州運輸局の構造専門家がアクセスできるようになりました。
ElastiSense DSシリーズは、防水性(IP68)と位置ずれに対する耐性に優れているため、橋梁、トンネル、ビル、ダム、岩壁、鉄道などの構造物の計測・監視に適しています。

橋梁モニタリング事例 2歩道橋

DSシリーズセンサとI-Bridgeワイヤレスデータロガーは、シンプルなターンキー方式のSHIMを構成します。

ノルウェーのパートナーであるSmart Sensor System社は、最近、ノルウェーのBærum自治体から、Sandvika 町の歩道橋の構造ヘルス モニタリングのターンキー ソリューションを提案するよう依頼されました。
その目的は、負荷と温度の変化によって引き起こされる橋のたわみを継続的に監視し、測定データをクラウドにワイヤレスで送信することです。これに基づいて、顧客は橋の構造的完全性をリモートで評価し、構造劣化が見つかった場合に予測によるメンテナンスと修理を計画立案できます。
橋の両端には、2つの橋脚と橋桁の間の相対変位を測定するために、2つのDS-100センサが設置されています。両センサは、センサのデータをクラウドに送信するiBridgeとバッテリー駆動のデータロガーにワイヤレスで接続されています。