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本記事では、Elastisense社の接触式伸縮センサ「DSシリーズ」を実際に使いながら、その特徴について紹介していきます。

前回までの記事で、DSシリーズの基本動作とアルミフレームの計測例についてご紹介しました。今回はDSシリーズをさらに応用して身近なものの計測を行ってみた例について紹介していきます。

1.接触式伸縮センサ「DSシリーズ」の特徴

Elastisense社のDSシリーズは、静電容量式を採用したストレッチセンサです。センサをシリコンゴムで完全に覆うことで雨・雪・ほこり・熱・寒さ・汚れなどの厳しい環境に耐えることができます。さらにゴムの柔軟性を活かしてねじりや曲げといった複雑な動きにも対応でき、ミスアライメントに強いのが大きな特徴です。
センサには5mm/20mm/50mm/100mm/250mmまでの長さを計測できる計5種類がラインナップされており、測定対象に合わせて選択することができます。

DSシリーズを使用する際のポイントは、「どのように対象物にセンサを固定するか?」です。このセンサは、主に作業車両や構造物のモニタリングに使用されています。これらの事例では、構造物にボルト止めをしたり、マシンの貫通穴を利用したりして固定を行っています。しかし、測りたい対象によっては固定用の穴を開けたくないケースもあると思います。そこで今回は、穴を開けることなく、治具を使って身近なものの測定を行ってみました。

2.棚のたわみ計測

身近なものの例として、まずは棚のたわみを計測していきます。棚は、家庭からオフィス、工場に至るまで様々な場所でものを入れる収納スペースとして利用されています。棚板で収納物の荷重を支えていますが、一見ほとんど変形していないように見えて、実際には収納物の重さに比例してわずかなたわみが生じています。この変形をDSシリーズでとらえ、棚の使用状況をモニタリングしていきます。

小さいたわみを計測するためには、それに合わせた測定範囲のセンサを使う必要があります。そこで今回は、20mmまでの伸びを計測できるDS20というタイプのセンサを使います。DSシリーズの分解能は測定範囲の0.025%なので、0.005mmの変化まで計測することができます。ただ、DS20シリーズは20mmまでしか伸ばせないため、固定点の距離をセンサの長さに合わせる必要があります。そこで、クランプとアルミフレーム、L字金具を組み合わせて長さを調整し、DS20を棚に固定できる治具を作りました。

この治具を使ってDS20を棚に取り付けます。約10kgのおもりを棚の端に置いたり、中央に置いたりしてたわみの変化を確認しました。

そうすると、次のようなグラフが得られました。おもりを置いたり、移動させたりすることで棚のたわみが変化している様子が分かります。

※ノイズ除去のためローパスフィルタ使用

たわみは0.1mmオーダーと分解能に比べて大きいので、分解能が0.025mmのDS100シリーズでも計測してみます。こちらは100mmまで伸びるので、設置の自由度が高いです。
このように、クランプを用いて棚に設置し、1日の棚のたわみ変化をモニタリングしてみます。

その結果、次のようなグラフが得られました。特に重いものを棚に入れたときを赤矢印、棚から取り出したときを青矢印で示しています。収納物の出し入れに伴うたわみの変化がよく分かります。収納物が重いなどたわみが大きい場合はDS100で十分ですが、DS20などの計測範囲の小さいセンサを使うことで、より細かい変化を追うことができます。

※ノイズ除去のためローパスフィルタ使用

3.自動車シートの変形計測

続いて、身近なものの例として走行中の自動車の変形を測定してみます。今回は、簡単に測定できる場所としてシートのヘッドレスト同士をDS100でつなぎ、その伸び縮みを計測してみます。

固定用の治具として、今回は支柱クランプと板金を使います。

支柱クランプを運転席と助手席のヘッドレストに固定し、実際に走行してみます。

今回は市街地を走行したのち、立体駐車場に入り、立体駐車場内を走行して停車するまでを計測しました。その結果、次のようなグラフが得られました。

自動車はエンジンや走行による振動が大きく、グラフにもその影響が表れています。しかし、振動が大きい中でも市街地と立体駐車場内の特徴の違いが確認できます。市街地に比べて、立体駐車場内では急な坂やカーブがあり、シートが大きく動いているのがよく分かります。

今回は安全かつ簡便な設置場所としてヘッドレスト間の変形計測を行いましたが、水や熱・汚れなど過酷な環境に強いDSシリーズの特徴を活かして、サスペンション周辺やフレームなど色々な部分の計測に使えそうです。

4.まとめ

今回は、接触式伸縮センサ「DSシリーズ」を使って棚のたわみと自動車シート間の変形を計測してみました。治具を使って、穴を開けなくても簡単に変形の計測を行うことができました。

構造物のモニタリングなどで実際に使用されている例はこちらに掲載しています。
この記事を読んで、このセンサ面白いなと感じていただけた方はぜひ下記リンクよりお問い合わせください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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