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プラスチックをリサイクルする際、その材質がリサイクル可能なものかどうか、またリサイクル可能であるならばどのような処理工程に持ち込むべきか、という判断は非常に重要になってきます。プラスチックの材質は一般的にはプラスチック表面に明記されていますが、廃棄物となると材質表記が不明瞭なものや表記部分が欠落したものもあります。そのような場合、どのようにして材質を識別したらよいでしょうか?

その一つのソリューションが、対象物の近赤外吸収スペクトルの取得とデータベース照合による材質識別になります。近赤外吸収スペクトルは測定対象物の化学構造に依存するパターンとなります。つまり対象物の化学構造が異なれば異なるスペクトルパターンとなりますので、データベースに保管している標準品のスペクトルパターンと測定データを照合することにより、簡便に対象物の材質を識別できます。また近赤外分光器による測定は通常、非破壊、非接触でサンプルの前処理を必要とせずに取得可能ですので、現場での識別に適した手法となります。

近赤外分光器S-G1は、上記の近赤外分光器の特徴に加え、手のひらに乗る小型サイズであり、数秒の測定時間で広い波長範囲の吸収スペクトルを測定できるものです。またBluetooth接続によりタブレット等の操作端末と無線で連携できますので、現場使用には最適なものとなっています。

今回はこの近赤外分光器S-G1を用いて、各種プラスチックの近赤外吸収スペクトル測定とデータベース照合による材質識別の実験を行ってみました。

1.S-G1によるプラスチック材質識別能力の確認

まずは材質既知のサンプルを測定し材質の識別を行いました。これによりS-G1によるプラスチック材質識別能力が妥当なものであるかどうかを確認しました。

なお、現在開発中のプラスチック識別アプリには、下記24種類のプラスチック材質の近赤外吸収スペクトルが照合用の標準スペクトルとして用意されています。

ABS HDPE LDPE PA6 PA66 PBT
PC PEEK PET PETG PLA PMMA
POM PP PS PTT PVC SAN
TPE HIPS ASA PC_ABS PPS TPU

またデフォルトの条件では、測定から識別結果表示まで5~6秒で完了します。

① ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)

<測定の様子>

<識別結果>

適切に識別されました。

② PA(ポリアミド(ナイロン))

<測定の様子>

<識別結果>

適切に識別されました。PA6(ナイロン6)とPA66(ナイロン66)も区別できています。

③ PE(ポリエチレン)

<測定の様子>

※S-G1の測定部の上にポリエチレン素材(ポリ袋)を置き、その上から標準反射板RM-2を置いて測定しています。

<識別結果>

適切に識別されました。LDPE(低密度ポリエチレン)とHDPE(高密度ポリエチレン)も区別できています。

④ PETG(グリコール変性ポリエチレンテレフタレート)

<測定の様子>

<識別結果>

適切に識別されました。

⑤ PLA(ポリ乳酸)

<測定の様子>

<識別結果>

適切に識別されました。

⑥ POM(ポリアセタール)

<測定の様子>

<識別結果>

適切に識別されました。

⑦ PVC(ポリ塩化ビニル)

<測定の様子>

※S-G1の測定部の上に透明のPVC板を置き、その上から標準反射板RM-2を置いて測定しています。

<識別結果>

適切に識別されました。

上記の実験で測定された近赤外吸収スペクトルを図示すると下記のようになります。

図からわかるように、材質によって近赤外吸収スペクトルのパターンは違っています。この違いにより材質が識別できているのです。

今回測定した7種類のサンプルについては、S-G1によっていずれも適切に材質を識別できていました。S-G1によるプラスチック材質識別能力は妥当なものであることが確認できました。

2.S-G1による身の回りのプラスチック材質の識別

次に、身の回りにあるプラスチック製品の材質を、S-G1を用いて同様に識別してみました。

① プラケース

<測定の様子>

※S-G1の測定部の上にプラケースを置き、その上から標準反射板RM-2を置いて測定しています。

<識別結果>

PP(ポリプロピレン)と識別されました。

② クリップボード

<測定の様子>

<識別結果>

ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)と識別されました。

③ 時計の筐体

<測定の様子>

<識別結果>

PS(ポリスチレン)と識別されました。

このように、S-G1を用いることで迅速かつ簡便に身の回りにある様々なプラスチック製品の材質を識別することが可能です。S-G1は小型で携帯性が良く、また堅牢な構造になっているため、屋外現場でのプラスチック識別作業などには最適な製品です。

プラスチック材質の適切な識別は、プラスチックのリサイクルを効率的に進めることにつながります。一方で、不適切なプラスチック廃棄は、マイクロプラスチック汚染などの環境問題に直結します。S-G1を利用したプラスチック識別方法が浸透することによって、環境問題の解決につながっていけばと願っています。

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