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前回のFBGセンサ検証レポート①では、SENTEA社のFBGセンシングスターターキットを使って、温度・ひずみ計測の基本動作を確認しました。
今回はそこから一歩進めて、もう少し実際の使用場面に近い使い方を試してみます。
FBGセンサは、橋梁やトンネルなどのインフラ監視だけでなく、風力タービンや産業機械の状態監視にも活用されています。
たとえば風力タービンでは、ブレードや支持部に生じるひずみ、回転に伴う振動、不均衡による負荷変化などを把握することが重要になります。こうした変化を早めに捉えることができれば、異常の兆候を見逃しにくくなり、設備の保守や点検にもつなげやすくなります。
また、産業機械でも同様に、運転状態の変化や支持部の応答、温度変化による影響などを継続的に見ていくことは重要です。特に、一般的な電気式センサでは使いにくい環境でも導入しやすい点は、FBGセンサの大きな魅力のひとつです。
題材にしたのは、家庭でも身近な扇風機と窓サッシです。
扇風機は、風力タービンそのものではありませんが、羽根が回転し、支持部に振動や負荷が生じるという点では、回転機器の状態監視を考えるうえで分かりやすい対象です。
また、窓サッシは、日射や外気温の影響を受けやすく、温度変化や熱によるわずかな変形を確認するのに向いています。
今回はこれらの身近な対象を使って、SENTEA社のインテロゲータ・FBGセンサでどのような変化が見えるのかを確認しました。
それでは、実際の測定例を見ていきます。
今回は、扇風機の支柱や窓サッシにFBGセンサを取り付け、条件の違いによってどのような応答が得られるかを確認しました。
前回のレポート①では、温度とひずみの基本動作を比較的シンプルな実験で確認しましたが、今回はそこから一歩進めて、実際の監視用途に近い見方ができるかを意識して評価を行っています。
まずは、扇風機の支柱にフォイル型ひずみFBGセンサを取り付け、扇風機の風量を弱・中・強に切り替えて、それぞれの状態で応答を比較しました。


上のグラフは、ひずみの時系列データです。
風量が大きくなるにつれて振動も大きくなっていく様子が確認できます。また、風量切り替えの瞬間には、ボタンを押したときの揺れで振動が大きくなっていることが分かります。
このセンサで見られるのは、時系列データだけではありません。インテロゲータの制御ソフト「PeakViewer」には、FFT解析機能が搭載されています。FFT(Fast Fourier Transform)とは、複雑な振動データを分析し、どの周波数成分がどのくらい含まれているのかを確認するための手法です。この機能を使って、各風量で定常状態になった際のひずみ波形をFFT解析してみました。

※サンプリングレート:100 Hz、解析区間:512点
FFTの結果から、風量弱のときは10Hz、風量強のときは17Hz付近に振動のピークがあることが分かります。別途カメラを用いて回転数を計測したところ、風量弱のときに約10回転/秒、風量強のときに約17回転/秒となり、主な振動ピークと対応していることが確認できました。このことから、風量に応じて回転数が変化し、周波数成分も変化している様子を捉えることができたと考えられます。
このように、FBGセンサを用いることで、回転機器の運転状態の違いを把握することができました。実際の設備監視でも、正常な振動状態になっているかを継続的に監視することが重要です。
回転機器では、わずかなアンバランスや偏りが、振動の増加や応答の変化として現れることがあります。実際の風力タービンや産業機械でも、こうした変化を早めに捉えることは重要です。
そこで、扇風機の羽根に異常がある状態を模擬するために、羽根の一部にテープを貼り付けた状態で計測してみました。

テープ無/有で、風量弱で運転したときのFFT結果は下のグラフのようになりました。テープ無のときに比べて、テープ有のときは羽根の回転由来の振動である10Hz付近の振動が大きくなっているほか、赤丸で示したように別の周波数成分も大きくなっていることが分かります。

このように、回転機器の振動を解析することで、通常とは異なる兆候がないか監視することができます。実際の風力タービンでも、振動を継続的に監視することで異常の兆候を早い段階で捉え、適切な点検・修理につなげることが期待できます。
最後に、窓サッシにポリイミド被覆センサファイバーを取り付け、1日の温度変化による伸び縮みを確認しました。
窓サッシは、屋外環境の影響を受けやすく、日が当たったり外気温が変化したりすることで温度が変化します。金属部材であるため、温度が変わると熱膨張によるわずかな変形も生じます。
FBGセンサは、温度とひずみの両方の影響を受けます。そのため、温度変化によるひずみを正しく測るためにはひずみ計測用・温度計測用の2つのセンサが必要になります。今回は、下の写真のように同じファイバー内の2つのFBGセンサを使って、①ひずみ計測用センサを接着剤で固定し、②温度計測用センサをひずみが加わらないようテープで軽く固定しました。これにより、温度・ひずみの両方の影響を受けた①のデータに対して、②のデータを用いて温度影響を簡易的に補正することができます。

1日を通してひずみ・温度を計測した結果が下のグラフです。温度は窓サッシ内側で測定した値であり、日の当たり方やサッシの拘束状態によって、ひずみは温度と単純に比例する訳ではありません。それでも、時間帯や温度条件の変化に応じて、窓サッシのひずみがゆっくり変化している様子が確認できます。

扇風機の評価では振動現象のような比較的速い変化を見ることが中心でしたが、窓サッシではゆっくりした変化を連続的に追えることが確認できました。実際の構造物や設備でも、温度やひずみを監視することで状態の変化を記録・確認することができます。
今回は、SENTEA社のFBGセンサを用いて、扇風機と窓サッシという身近な対象を題材に、回転機器や構造物の状態変化という実用途に近い使い方を紹介しました。
扇風機では、風量による運転状態の違いや、羽根の異常に伴う通常と異なる振動といった、回転機器監視につながる見方を試すことができました。
一方で窓サッシでは、日射や外気温に伴う温度変化・わずかな変形といった、静的で緩やかな変化の監視が可能であることが確認できました。
つまりFBGセンサは、単に「温度が測れる」「ひずみが測れる」というだけでなく、対象物の状態変化を継続的に見ていくためのセンサとしても使いやすいことが、今回の評価からよく分かります。
身近な対象で確認してみることで、FBGセンサが回転機器監視や構造物監視にどうつながるのか、かなり具体的にイメージしやすくなったのではないでしょうか。
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